目次(スクロールします)
家庭と子育て、自分のキャリアについて考える
こんにちは。コンサルタントの花井です。
今日は、転職検討中のママドクターS先生に「子育てと転職」についてお話伺いました。
これから結婚・出産予定の女性医師の皆様。
そして子育てしながら転職を検討されている女性医師の皆様。
ぜひS先生のお話を参考されてみてください。
小児科医のS先生
ーS先生、簡単に自己紹介をお願いできますか?ー
S先生:はじめまして、関東で小児科医をしているSと申します。2014年に関東の私立大医学部を卒業し、初期研修を地方総合病院で行いました。
ー今も初期研修を行う病院にお勤め中なのでしょうか?ー
S先生:いいえ、今は後期研修へ移行するにあたって、都内総合病院に転職しました。
ーなぜ初期研修の総合病院で、後期研修をされなかったのでしょうか?ー
S先生:初期研修の病院は、ハード面・ソフト面ともに申し分なかったですが、物理的なアクセスが悪い場所でした。院外の勉強会やワークショップなどは、都内で行われる頻度が多く、都心へのアクセスは重視したいと考えたのが一つの理由です。
ーなるほど。確かに後期研修から都内病院へ転職される先生、少なくないですよね。先生のご出身は都内でしたよね?ー
S先生:幸い、親はまだ介護が必要な状況ではないですが、今後いやでも高齢になっていき、災害も多い日本。都内に住んでいる親の近くに住んでいることに、越したことはないだろうという思いもありました。
初めての転職と子育て
ー初期研修の病院と、後期研修の病院。どのような違いがありましたか?ー
S先生:後期研修の病院は、初期研修の病院と比べると、オンオフがかなりはっきりしているとまず最初に感じました。また当直の回数も少なくなったことから、働き方としてはだいぶ人間的なものになりました(笑)。地方から都内にうつり、各地へのアクセスも良くなったこと、また実家との距離も近くなったことなど、プライベートが充実したと実感できましたね。
ーS先生はまだお若くいらっしゃいますが、もうご結婚されているんですよね?ー
S先生:はい。実は先の転職には、結婚も大きなきっかけになりました。初期研修時代の縁で結婚することになった夫も、同業なんです。私が後期研修を始めるタイミングで、主人が都内の病院に勤務することになりました。お互い医局には属しておらず、自分で就職先を選べる環境にある中で、せっかく結婚したからには同居したい!という思いもあり…やはり都内の病院に移ろうと決めたんです。
ーご主人も医師だったのですね。ー
S先生:一人暮らしが長かった夫は、一通りの家事もでき、私が当直あり・フルタイムのガッツリ勤務をしていても、家の中のことは何の問題もなく回りました。
ーご結婚と同時に一緒に住めたことで、お子さんにも恵まれていますよね。ー
S先生:ええ。トントン拍子に事が進みまして…後期研修が始まって数ヶ月で妊娠が分かり、後期研修1年目の終わりに第一子が産まれました。妊娠中は悪阻もあり、勤務がとてもつらい日も少なくなかったです。当直が一人体制ということもあり「万が一、夜間に(母体に)何かあっては、責任がとれないから」という部長のお考えのもと、妊娠中は当直を免除していただきました。そのかわり、休日・祝日日勤に多く入らせていただきました。
ー色々ご配慮いただける職場で安心されたことでしょうね。ー
S先生:はい。でも出産後は、研修中の身分でブランクが空いてしまうことに抵抗があったため、生後3ヶ月の時点で復帰しました。
ー生後3ヶ月ですか!それは大変だったのでしょうね。ー
S先生:復帰後も、時短なしでフルタイム、当直もありという、出産前と変わらない条件で勤務を続けました。
ー育休明けは当直免除とかで働かれるママドクターが多くないですか?ー
S先生:そうですよね。出産後はずっと当直免除だったり、時短勤務から開始したり・・・という方も多い中で、賛否両論あるかもしれません。2人の子供を出産させてもらった病院への感謝をこめてという気持ちもありますが、実は部長を含めたスタッフの共通見解として「みんなが同じ条件で働くこと」というモットーがありました。「妊娠・出産・子育て」はある意味わかりやすいハンディキャップかもしれませんが、別に結婚していない女性医師や男性医師も、みんな何かしらの個人的な事情や環境の中で、勤務をしています。親の介護がある、親の医院を手伝いながら勤務している、単身赴任で奥さんや子どもと離れて勤務している・・・など様々な事情の医師がいました。その中で「子どもがいるから」という理由で、その人だけの勤務条件を変える・・・というのは、スタッフ内での心理的障壁の原因の一つになりかねないだろう、という考え方です。
ーなるほど。でもそういったお考えが浸透しているからこそ、人間関係の軋轢みたいなものは無さそうな環境ですね。ー
S先生:私はただでさえ、妊娠中に当直を免除してもらったり、子どもが産まれてからは急な発熱で(病児保育やシッターさんなど使える手は使っていますが)どうしても勤務を調整せざるをえない立場です。そんな中で「当直・フルタイムで、他のスタッフと同じ条件で働いている!」という状況は、私にとっては実は心理的拠り所になっていました。
ーS先生自身も、平等な勤務ということで救われる部分があったのですね。ー
S先生:私がこうした働き方ができたのは、当直や休日日直で私が不在の時に、夜泣きの対応を含めて夫がやってくれる・・・など、夫の全面協力があったからこそです。
ー素敵なご主人ですよね。ー
S先生:ありがとうございます(笑)。しかしこのタイミングで、夫が起業・開業を視野に入れはじめました。私が妊娠・出産しながら勤務を続けられたのは、夫が育児・家事をフルサポートしてくれ、また上司に頭を下げて当直などの調整をしてくれたからこそなんです。今度は私が、夫のやりたいことを存分にサポートしたいと思うようになりました。また、自我が芽生える中で二人目が産まれ、子どもながらに葛藤する第一子の様子を見るにつれ、「もう少し子どもと過ごす物理的・心理的な余裕を持ちたい」という思いも強くなりました。
二度目の転職活動に向けて
ーS先生は今回のご転職活動では、どのようなご希望条件でお仕事をお探しなのでしょうか?ー
S先生:具体的な職場として考えているのは、クリニックでの就業です。週3回程度、当直なし、祝日勤務はたまにある程度…この希望を、第一希望として検討している段階です。
ーなるほど。お子さんの託児所など福利厚生部分は、そこまで重視されていませんか?ー
S先生:産休復帰した時に、職場に近接した病院職員専用の保育所に預けました。待機児童が騒がれて久しいですが、居住区の保育所は、年度途中のゼロ歳児入園は不可能でした。保育所に預けて職場復帰すると、保育園入所に関わる点数はかなりアップします。おかげさまで、第一子は(一般的に保育園に入所するには絶望的と言われる)3月産まれでしたが、1歳になった4月から、自宅近くの保育園に1歳時クラスで入所できました。
ー今はもう、2人のお子さんは保育園に入園されているのですね。そうなると、託児所などの福利厚生よりも働き方に重点を置いた転職活動になりそうですね。ー
転職活動の進め方
ー転職活動の真っ只中ですが、どのように転職活動を始めていらっしゃいますか?ー
S先生:私は自分でも情報収集をしつつ、エージェントに登録して情報提供をしてもらったりと並行して行っています。小児科の場合は、日本小児科学会が女性医師支援の一貫として、(おそらく許可制ですが)学会HP内に求職情報を掲載できる仕組みになっています。エージェント経由での採用をしていない病院やクリニックもあるので、各ホームページを見たり、学会のホームページもチェックしたりしています。
ーエージェントを利用されてみて、どのようにエージェントと付き合うのが良いと感じますか?ー
S先生:病院の公式ホームページや、転職サイトそのものには載っていない情報を、いかにゲットできるかがポイントだと思います。公募条件では「勤務時間:9時~19時」となっていても、スタッフ数にわりと余裕があるので、17時までの時短勤務が許されている。来年◯月に分院ができる予定(自宅に近い場所にできる可能性もあり)。院長の出身大学や経営に対する考え方(ガッツリ経営者というキャラクターなので、とにかく人数をさばくことを重視しているのか。あるいは成人内科や美容クリニックと同医療法人なので、小児科としてはギリギリ採算とれればOKという考え方なのか)。子育て・女医に対する院長の理解や風土、実際に何人くらい働いているか、託児所・シッター補助はあるか。・・・このような情報は、意外とHPなどでは確認できない(あるいは大幅に事実が異なる場合もある)ので、エージェントから生の情報を得たほうが効果的だと思いました。
ー確かにエージェントは、入職いただいた先生から多くの情報をいただいているので、次にご転職活動いただく先生にも是非活かしていただきたいと思っております。
なかなかご自分で調べているだけでは見えてこない「口コミ」のような情報は、是非エージェントに頼っていただけると嬉しいです。ー
S先生:エージェントそのものよりも、コンサルタントの皆さん自身の経験も大きく物を言う印象もあります。今まで何人、そのクリニックに紹介をして、採用に至ったのか。ママ女医を何人担当したことがあるか。こればかりは、経験豊富だったり、性格がマッチするスタッフにめぐりあえるか、運のようなものもあるので、難しいですよね。
ー肝に銘じたいと思います・・(笑)ー
S先生:私が一番素晴らしいと思ったコンサルタントさんは、ただ医療機関を羅列するのではなく「今までの先生のキャリアや、お会いした印象、ご家族のご事情からだと・・・」など、様々な背景を踏まえたうえで、医療機関の提案してくださいました。経験年数が浅い段階での転職では、「短期的には、とにかく家族との時間がとれる勤務状況を優先。ただし長期的には、アレルギーを専門にしていきたいので、アレルギー専門医をとれるような病院や勤務内容を考えている」など、転職の目的を短期的、中長期的に棚卸ししてあげて、コンサルタントに伝えるのも大事かもしれないと感じています。
ーそうですね。私たちコンサルタントも先生たちの希望はすべて叶えて差し上げる求人をご案内したいと思っています。しかしそうは言っても、何かが叶えば何かは叶わず・・つまり、一長一短があるのが転職活動のセオリー。そんな中、先生ご自身の希望のベスト、ベターがある程度はっきりされている先生の方が、スムーズに良いご就業先が見つかっていらっしゃるように感じます。ー
今後の転職活動へ向けて
ーこれからのご転職活動に際して、最後に一言お願いします。ー
「産後間もない頃、いくつかエージェントに問い合わせしました。なかなか外出が難しいことを伝えると、電話のみで対応してくれる会社もありましたし、電話も「事前に予約した時間以外は、対応が難しい」と伝えておけば、しつこく電話勧誘されることもありませんでした。自分の置かれている状況を、ある程度素直に伝えた方が、相手も柔軟な対応をしてくれるんだなと改めて感じました。」
★ご自身の置かれた立場をきちんと説明する
★エージェントから提供される口コミをうまく活用する
医師ライターおすすめの転職会社ランキング
当サイトの共同運営者である麻酔科医師を含めた複数名の医師が実際に利用した転職会社から、おすすめの5社をご紹介します。
【1位】エムスリー
医師の評価 | ★★★☆☆ 3.2点 >>クチコミ詳細 |
良い点 | 求人の量と質のレベルが高い。転職が具体的でない先生にもおすすめしている。 |
悪い点 | 私の担当からはやや営業っぽさを感じた。 |
公式サイト | こちら |
【2位】リクルート
医師の評価 | ★★★★☆ 4.0点 >>クチコミ詳細 |
良い点 | 知名度が高く求人の選択肢が多い |
悪い点 | ヒアリング力が十分でないコンサルタントも居る |
公式サイト | こちら |
【3位】民間医局
医師の評価 | ★★★★☆ 3.8点 >>クチコミ詳細 |
良い点 | 1997年創業の老舗で全国に拠点有り |
悪い点 | 医師との面談を重視しており、資料の用意がやや面倒という意見も |
公式サイト | こちら |
【4位】Dr転職ナビ
医師の評価 | ★★★☆☆ 3.5点 >>クチコミ詳細 |
良い点 | 適度な距離感で応対してくれた |
悪い点 | 特筆すべき点が無かった |
公式サイト | こちら |
【5位】医師転職ドットコム
医師の評価 | ★★★☆☆ 3.5点 >>クチコミ詳細 |
良い点 | 医師転職業界では有名で実績豊富 |
悪い点 | 担当者との面談がなく、やや不安を感じた |
公式サイト | こちら |
あくまで割り当てられた担当者の力量と相性で評価は大きく変わると思うので、2社程度に登録して相性が良い担当を見つけると良いと思います。

当サイトの3名のライターを紹介します。
30代地方都市在住の現役麻酔科医です。転職会社を探していたところ怪しい情報が次々に出てきたため、自分と周囲の先生方が使った感想を記します。
現役の美容外科医。健康や予防医学などの講演活動や保護犬活動を行う。京都府立医科大学卒業。日本医師会認定産業医、日本抗加齢医学会所属。
新米医師転職コンサルで、以前は看護師向けの転職会社で勤務していた。看護師とは全く違う医師の世界に悪戦苦闘中。